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この夏は
原発関連の本ばかり読んでいた
心は重くつらかった

この夏の夜は苦しかった
眠ろうとしても
身体のあちこちが不平をいう
しかたがない
朗読MDを聴きながら寝つこうと
この夏聴いたMDが一山

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜(岸田今日子朗読)」
「風の又三郎(市原悦子朗読)」にはじまって
芥川龍之介の「杜子春」「トロッコ」「蜘蛛の糸」
「河童」「煙草と悪魔」「キリシトホロ人伝」
「南京の基督」「奉教人の死」
夏目漱石の「夢十夜」
森鴎外の「高瀬舟」
太宰治の「富嶽百景」「満願」
中島敦の「山月記」
サン・テグジュベリの「星の王子さま」・・・


そうした努力のあげく
明け方身体が少しベットになじみ
ささやかにまどろむ


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日も高くなった頃
もう母のいない部屋を尻目に
のろのろと台所へ
ゴーヤのカーテンをおろした室内は
そんなわたしの姿を隠してくれる

遅い食事のあとは
義母の病院へ行かねばと
義務感で重い身体をまたうごかす
そんな生活が2ヶ月も続いた

 そんな暮らしにあきあきして
 むしょうに児童文学
 にふれたくなった

 図書館に滑り込んだのは
 4時45分
 図書館は5時に閉まる
 音楽に追われるように
 5冊の本をえらぶ
 そのなかに
 ちゃんと宝物はあった


この「ひとりぼっちのエルフ」だ
1953年 イタリアのカゼルタ生まれの
シルヴァーナ・デ・マーリさんの三作目

シルヴァーナ・デ・マーリさんは
元イタリアの外科医だが
アフリカのエチオピアでも
ボランティアの医師として活躍

ところが人間をむしばむのは
からだの傷や病気だけではない
心に巣くった悪が人を破壊してしまうのだと・・・

シルヴァーナ・デ・マーリさんは
心理療法に専門を移し
子ども向けの物語も書きはじめる
世の中の不公平や
迫害や差別に対する怒りを静めるために
おとぎ話の形で自分の思いをつづってみようと・・・

2004年 51歳のとき
『ひとりぼっちのエルフ』(L'ultimo elfo)を
ジャンニ・デ・コンノの挿絵をつけて出版するや
たちまち世界各国での翻訳出版や
ミラマックスによる映画化が決まった
2004年度のイタリア・アンデルセン賞を受賞
2005年度にはバンカレッリーノ賞にも選ばれた

現在、シルヴァーナ・デ・マーリさんは
ピエモンテ州のトリノ郊外の丘で
家族や犬と一緒に暮らしている

こんなシルヴァーナ・デ・マーリさんのことも
本を読み終わって感動にひたりながら
あとがきを読んではじめて知る

世界中の虐げられている人たち
差別に苦しむ民族
争いばかりくりかえす国々に思いをはせる
シルヴァーナ・デ・マーリさん

シルヴァーナ・デ・マーリさんの
人を落とし入れる社会や権力に対する怒り
自然をいつくしむ生活
生きものに対するかぎりないやさしさ
それにうらうちされたこの物語

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裏表紙には
この世で最後のエルフが 
ひとり運命に立ち向かう
賢く心やさしいエルフ族は
迫害を受けてほぼ死に絶えてしまった
残ったのは、幼い少年のヨーシュただひとり
勇気ある人間の男女や年老いたドラゴンとめぐりあい
成長していくが
行く手には思いもよらない運命が待ち受けていた……
出会いと別れ、友情と信頼を描き感動を呼ぶ
イタリアのファンタジイ
 と


最後のエルフ、ヨーシュは
生きものの感情を理解し
その思いや痛みやよろこびを
そのまま自分のものとして感じる

そんなことが我が身におきたなら耐えらるだろうか
「先生って人の問題をすぐ自分の問題としてしまう人だね」
って昔女の子に言われたっけ


なぜわたしのようなちっぽけな人間が
何十年も教師を続けてこれたのかな

それは子どもの前で
ありのままの自分で居続けたから

どうしたらいいか
その場になったらすぐ答えがでてくる
子どもの言葉に傷ついたらそのまま言葉にして
子どもにわたしが生身の人間であることを知らせる
子どもの行動に喜びを感じたら
そのまま言葉にして返してあげる

ときには大勢の生徒という観客を前に
子どもとお芝居をしている気分でゆったりと
楽しんでいたことはたしかだ
なぜなら子どもはゲームが大好きだ
そんなときはちゃんとつきあってあげなきゃいけない
ただしゲームの終わりを共有しておくべきだ
それに気づかない子にはそれも示唆してあげる

多くの子どもは大人を警戒している
大人は建前がうまいから
しかし生きていく上で必要なルールはいっぱいある
それを教えることも教師のしごと
大人のウソとごまかしと欺瞞いっぱいの学校で
ほんとうのことはなにか
それを考えさせることが教師のしごと

頭で考えて言葉がうまれるのではない
ちゃんと子どもの目をみつめて
なぜ?という問いかけを

このひとりぼっちのエルフは
ほんとうに久しぶりにわたしをこんな風に
自分の生きてきたさまをふりかえらせてくれた
この出会いをこころから感謝したい


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東京のなかで
一番たくさんの放射能が降り注いだのが
うちの区らしい
あちこちの学校の校庭が掘り返され
校庭のまん中に
汚染土入りの袋が集められている

25日は始業式だ
間にあったかな
あの土はどこへ行くのだろう

また太陽が戻ってきた
子どもたちとの生活がはじまる
なにかお話をしてはじめたいな
1学期は池谷祐二さんの脳科学の話で終えた
2学期のはじまりに何がいいかな

この「ひとりぼっちのエルフ」は孫が大きくなった日に
読んでもらいたいと思い、早々購入することに

コアラさんのおっしゃるように
癒しと希望のある児童文学は
子どもの心をはぐくんでくれる