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ママが死んだ
原著:Jacques Fansten
(ジャック ファンスタン )
イラスト: 中村 悦子
翻訳:高橋 啓







連休前にマンションの向かいにある公立図書館で

数冊の児童書を借りた

いつものようにさっさとイラストの感じのいいものを
この「ママが死んだ」のタイトルはちょっと直截すぎたけれど

しかし読み始めてすぐ
そうだな、ママとふたり暮らしで大人不信だったら
突然ママが死んだとき、どうしたらいいか
12歳のマルタンでなくても戸惑うよね~って

舞台はフランスの片田舎
いつも悪ガキのマルタンの元気がなくて
仲間たちはマルタンを案じ、とうとう
マルタンの母親が死んでいることを知る

マルタンの母親は実の父親が誰かマルタンに
伝えることもせず亡くなってしまう

マルタンと仲間たちが考えたことは
孤児院のようなひどい所に入れられないために
母親の死を隠そうということ

子どもの浅知恵なんだけれど
なんとか子どもたちだけで母親の埋葬をしようとする
そうこうするうち協力をしてくれる子どもの数は増える
その仲間たちの連帯ぶりがおもしろい
大人たちに気づかれないように
勉強もそこそこまじめにやり
みんなでマルタンの生活を支えようと
いろんな境遇の子どもたちが助け合う

フランスの児童文学にも
こんなものがあったんだと感激

子ども達だけでかばって行くことが限界になった
そこで信用できそうな大人にはじめて相談
しかし思ったより頼りにならない
この本のなかの教育委員と言われる母親も
気の小さな同性愛者の担任もなんにもできない

わたしだったらどうするかな
きっとどうにもならないね
ただ現実的に動くだろうな

今の時代
こうした子どもっているのだろうか
思わず、わたしは幼い日の自分を思い出していた

4月から小5になるという時の
小4最後の日だったと思う

担任の先生が、クラスの生徒の前で
給食費未納の同級生に袋を渡した
「これに2年分の給食費を入れてもってこい」と
大好きな先生だったけれど、あまりにもひどいと
わたしは胸は潰れそうになって家に帰った

その日一日考えて、翌日わたしは行動し始めた
まずは友人に話して同意を得て
一緒にクラスメートの家を回って
ほんの少しでいいからとカンパをお願いした
カンパなんて言葉も知らなかったが

クラスの悪ガキのボスが一番たくさん袋に入れてくれた
そしてみんなが一緒になって回ってくれ
袋に入りきらないくらいにお金で重くなった頃
みんな学校の前に来ていた

わたしと友人で職員室に行った
1円から100円玉がずっしり詰まった袋を
先生の手に渡した時、先生は泣いた

「そんなつもりではなかったんだ・・・これはもらえない
君たちはなんてすばらしい子どもなんだ
君たちの気持ちだけで十分だ・・・先生がなんとかする」

教室に戻ってまたみんなで話し合った
誰がいくらくれたかわからないので返しようがない

「あの子いつも文房具もないから、
これでノートとか鉛筆とか買ってプレゼントしよう」

あの頃の子どもたちの純粋な心を思うと
今でもわたしはあたたかい気持ちになる

みんなであの子の家に行くと迷惑だろうからと
またわたしと数人の友人であの子の家に行った

はじめて入ったあの子の家
窓もなく床もなかった

無口なあの子との間に信頼関係が生まれた
中学生になり学校が離れた
でもあの子はときどきやってきた
高校生になったときあの子はどこかに就職した
住み込みで働いていたようだったが
休みの日になるとうちにきた
大学生になりわたしがいなくなると
母親が相手をしていた
いつしかわたしはすっかりあの子を忘れていた

しかしあの日のあの子の泣き顔と
プレゼントでふくらんだ文房具屋の袋を
わたしは今でも思い出す

子どもの心ってほんとうにすきだ
この本を読んでひさしぶりに心が浄化された