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1994年にスザンナ・タマーロさんは36歳で
この「心のおもむくままに」を発表
イタリアで250万部を越え

あっというまに世界的なベストセラーになった
 
 発作の後遺症で動くのも容易でなく
 人生も残りすくないと悟った老女が
 すれ違って遠くに旅たち
 もう会えないだろう孫娘に
 置手紙を残そうと
 かきはじめた日記形式の物語



 孫に
 「いちばん恐ろしい相手は自分の心に宿る思いなのだから
 心の内奥をみつめる旅をしてほしい」
 「心にひそむ根源的な願いが何なのか、みつけてほしい」
 と語るにつれ
 オルガは自分をはじめて
 みつめなおしたのではないだろうか

 スザンナさんの生きざまを
 じっくりと垣間見るようなこの物語
 本腰をいれて読みたいと思う


「いちばん恐ろしい相手は自分の心に宿る思いなのだから、
心の内奥をみつめる旅をしてほしい」
「心にひそむ根源的な願いが何なのか、みつけてほしい」
を自分に突きつけられた言葉として

どうしてわたしがスザンナ・タマーロさんの本に出会ったのか
その出会いから始めよう

 

新学期がはじまってひさしぶりに足は学校の図書室へ
ここの学校には週に二日、司書の方が見える

その日はちょっとこころがうきうき
廊下の突きあたりにある
図書室のドアを押すときも
ちょっとこころがときめく
そして出会ったのがこの本

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この「トビアと天使」という本の主人公はマルティーナ
8歳のマルティーナがおじいさんと過ごす時から話ははじまる
両親は彼女がおじいさんと関わることをよく思っていない
しかし両親は生活の苦しさの中で
若い日の夢を見失しないお互いを傷つけあっている
マルティーナのことをみつめる心も失っている

ある日を境にマルティーナはおじいさんを見失ってしまう
なぜおじいさんは彼女の家に来ないのか
なぜ電話をしても出ないのか
マルティーナはそれを母親に尋ねることもできない
ひとりぽっちになったマルティーナ

ある日、両親がまた諍いをし
父親だけでなく母親も家を出てしまった

どこにも居場所がなくなったように感じた
マルティーナは
自分の運命を探す旅に出る

家族とは一体なんなのだろうか
この夏ネグレクトの問題から
いろんな本を読んでいたが
また出会ってしまったという感


著者のスザンナ・タマーロさんは
1957年、イタリアの北東部トリエステに生まれ
ローマの国立映画実験センターでシナリオを学び
イタリア国営放送で記録映画の製作に携わる
という経歴をもつ

彼女の本をもっと読んでみたいと思い
つぎつぎに本を手に入れた


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最初に手にした本
「独りごとのように」は

スザンナさんが1991年に33歳で発表した短編一話と中編四話

この本の中を少し紹介

 

短編「また月曜日」は
生まれて間もなく掃き溜めの汚物のなかに捨てられていたドリーを養女にしている出版社に勤める女性が綴る物語

仕事の相棒は「子どもたちに受けるのは怪獣や魔女やよだれをたらす巨人や肉食動物みたいに恐ろしい継父」と考え
「ホラーっぽい童話」の企画を提案

しかし主人公は「子どもには最良の夢を与えるべきだ
子どもは感じやすく壊れやすく空想力も豊かだ」と反対する


「ラブ」は哀しい物語だった
映画「道」のジェルソミーナのような

哀れなジプシの少女ヴェスナ

「少年」は0歳児で誰からも愛されなかった
子どもは犯罪者になる傾向があるという
心理学を裏づけてくれるような物語
うつろなこころをただ満たすために
数日のうちに4人の子どもを殺した

ここ数年に起こったいろんな事件が脳裏をかすめた

「雪に埋もれて」は16歳の日に不幸な妊娠をし
生んだ子どもの顔も知らぬままに
子どもを取り上げられ
それを一生のトラウマとして生きた女性の回想録

もうどれもこれも哀しすぎる物語
自分の力ではどうしようもない
理不尽な暴力にさらされる弱者

その暴力は
ある時は環境であり
ある時は歴史

最後の「独りごとのように」は
ホロコーストで奪われた母と夫と娘の死を
老女が静かに淡々と語る物語

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 この「うわの空で」は
 スザンナさんの1989年の処女作
 エルザ・モランテ賞受賞
 これからドキドキしながら

 ページをめくる
 上の二作とは違って
 処女作だけにパワーがある
 スザンナさんの異なる魅力を
 みることになるのかも



  
スザンナさんは
「心のおもむくままに」がベストセラーになってからは
サリンジャーのように
山奥に閉じこもりがちという
動物たちに囲まれた人里はなれたところで
静かに作品を書いているという