画像


わたしの心のビタミンは
やっぱり児童文学

学校の図書室でみつけた
この「うその水曜日」って本
ちょっぴりこころに沁みる

著者C. グルニエさんは1945年パリ生まれ
長年教師をつとめたあと
ジャーナリスト、脚本家をへて執筆生活に

翻訳は1959年生まれの河野 万里子さん
サガンをはじめ多くのフランスの本を訳している


...毎週水曜日
近くに住むおじいちゃんは
きっかり正午にわたしの家にやってくる

買い物をしていても
「おじいちゃんが来る時間だぞ」と
大あわてで家に戻るパパなのに
おじいちゃんが話し始めると
すぐその話を遮ってしまう

そして忙しい忙しいと言い
いらいらしはじめる

そうなるとおじいちゃんは
ちょっと恐縮して腰痛を訴え始める

わたしは薄いコーヒーを入れCDをかける
とたんにおじいちゃんの目は輝き
「ああ、モーツアルトだ!
うん、これは・・・幻想曲ニ短調K397だな?
ピアノは...ウイルヘルム・ケンプ?」
「あたり!」

12時半になるとおじいちゃんは
「時間だな、もう行かんと」

すると突然パパがやさしくなる
しかしふたりの不協和音は大きくなるばかり

わたしはマンションの外まで
おじいちゃんを送っていく
前の道には大きな柳の木がある
「すばらしい木だな!
こんな木があってよかったなあ、おまえたちは」
とおじいちゃんは毎週感心しながら同じことをいう

わたしとつきあっているジャナタンが
家まで送ってくれるとき
この木陰で離れがたい思いをかかえて
一緒にいつづけたっけ

おじいちゃんもここでわたしを長く抱きしめて
さよならのキスをした

それがわたしたちのおきまりの水曜日だった
それがある日....


画像