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 13番目の物語
 著者:ダイアン・

セッターフィールド
 

翻訳: 鈴木 彩織


 

 

 

閉まりかけた図書室で大急ぎで手にしたこの本
こんなにわたしを夢中にさせるとは思ってもいなかった
挿絵も気に入らなかったし・・・
なんとなくうさんくさかった
そのため、「花言葉をさがして」を2度も読み直したり
夏に読んだ本をもう一度手にしたり・・と
わたしは時間稼ぎをしていた
とうとう手持ちの本がなくなって・・・
ようやく13番目の物語を手にした
その扉には・・・


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子どもというのは自分の出自を神話化する
それは人の習い性だ
あなたには
もっと深く知りたいと思っている相手はいないだろうか?
その人間の胸の内や、心のありようや、魂のことを
本人に、生まれたときのことを尋ねてみればいい
あなたが聞かされるのは真実ではない
それは物語なのだ
しかも、物語のほかかなにひとつ口にされることはない


『変化と絶望にまつわる十三の物語』ヴァイダ.ウインター作


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古書店を手伝いながら
小さな伝記物を書いて静かに暮らしていたマーガレット
その彼女のもとに一通の手紙が届いた
差出人は、プライベートのすべてが謎に包まれた有名女流作家

『ほんとうのことを教えてください』に答えるという
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とうとうマーガレットは
ヴァイダが孤独に住まう
ヨークシャーの屋敷に向かう

う~んジェーン・エアを思い出すな~

死に臨む作家が

語り始めたのは
驚くべき出自の秘密
それは

マーガレットの物語と
静かに共鳴していた


わたしはどんどん物語に引き込まれていった
本好きなわたしへの最高のご褒美のような
珠玉のミステリー

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想像してみてほしい
若い男と、若い女。片方は金持ちで、片方は貧乏人。
金貨を持っていないのは女の方だと相場は決まっているが、
それはこれから話す物語の場合も同じだった。
舞踏会を開く手間は省かれた。
森の小道を歩いてだけで
ふたりの道は自然にからまり合ったのだ。
むかしむかしの物語には妖精の女王が登場したが、
むかしむかしが終わったあとには
ひとりも残っていなかった。
ふたりの出会いも
むかしむかしが終わったあとのことだった。
この物語に出てくる娘にとっては
南瓜は最後まで南瓜のままで、
午前零時をまわったあとは
這うようにして家に帰らなくてはならなかった。
陵辱されて、ペティコートに血の染みをつけて。
朝になっても、
戸口にモールスキンの靴を履いた召使いが
あらわれることはないだろう。
そんなことは娘にもわかっていた。
娘は愚かではなかったからだ。
愚かではなかったが、娘は身ごもっていた・・・

『シンデレラの子ども』ヴァイダ.ウインター作